top of page

​彫刻家 宮崎みどりさんにインタビューしました!

アシタへの周波数
<「アシタへの周波数」について >
アシタへの周波数」(2017)

ROJIBI(以下R):今回展示でROJIBIの玄関入って一番インパクトが大きいのが羊なんですが(笑)、その次に気になった大きな作品、白い展示壁の奥にさり気なく掛けてある色が薄くなったGジャン、、、ではなく、「アシタへの周波数」という作品。淡い濃淡と光沢が綺麗で、近くに寄っても離れていても見ていて飽きないです。離れて見るとシャツのシワで、近くで見ると鑿(のみ)の痕跡が見えてきて、木で出来ているということがわかる。まとまって見えるんだけど、ちゃんと複雑というか、、、。

 

宮崎:この作品は、「彫る」と「塗る」をひたすら繰り返すことで作り上げました。元々彫って塗ってある部分と、新しく彫って塗った部分で、多様な色の濃淡が生まれます。それが幾十にも積み重なって時間の経過を表現し、何か懐かしさのような感情を抱く作品にしました。

 

R:木彫って普通は樟(クス)を使うイメージなんですけど、キャプションを見ると、、、なんて読むんですか?笑

 

宮崎:榧(カヤ)ですね。笑 榧(カヤ)っていうのは、碁盤やお香に使われる木材です。彫刻でもよく使われてて、一般的な樟(クス)よりちょっと高級品。でも柔らかく彫りやすいというのもあって採用しました。香りは、樟(クス)はスースーしますが、榧(カヤ)は私的にはぬるいコーラの香り。笑

 

R:高級素材だったとは、、、初めて知りました。木が柔らかいとシャツの柔らかさも引き立つような気がします!ちなみに、シャツのボタンの部分が一部木の現しのままなのは何故ですか?

 

宮崎:モチーフがそういうデザインの服なんです。ただ、元の木の色も黄色くて滑らかで綺麗だし、年輪と時間の集積というテーマがあっているので、どこか本来の木目がそのまま見える部分を残したいなと思ったのでそうしています。 

アシタへの周波数 詳細
アシタへの周波数」の表面
<「新宝島」について>
新宝島 彫刻
「新宝島」(2015)

R:ポスターに採用させて頂いた、トビウオに乗った何とも言えない表情の女の子の作品、「新宝島」というタイトルですが、これはもしかして、、、。

 

宮崎:そうです。サカナクションというロックバンドの「新宝島」から来ています。作品を作ろうとしていた当時、何か飛び立つ躍動感の様なものを表現したいということは決めていたのですが、具体的に何をどう彫るかということは漠然としていました。私は作品を作るときはいつもイヤホンで音楽を聴きながら作業をするのですが、その時聞いていたのがサカナクションの「新宝島」で、曲を聴きながらノリノリで彫っていたらトビウオに乗った女の子が完成していました。笑

 

R:確かに、曲の躍動感みたいなものが伝わってきます!オープニングのジャーン!みたいな感じとか、シンセサイザーの打ち込みのポコポコ感は魚の丸みや鱗の感じで、ギターのカッティングのバサバサっとした感じはトビウオの羽のバサっと感だったりとか、音楽からのイメージを作品と対応させながら勝手に想像して楽しめます!

新宝島 背面
「新宝島」の後ろ姿
<作品に共通する「愛おしさ」と「水」>
FLOWER
FLOWER」(2019)
MIKAN
MIKAN」(2019)
FLOWER  LA FRANCE
「LA FRANCE」(手前)とFLOWER」(奥)
額縁から作品が飛び出しててカワイイ!
Cerry
「Cerry(2019)

R:今回の展示で気になったのが、「FLOWER」や「LA FRANCE」,「MIKAN」,「Cerry」など小さな子供が想起される可愛らしい作品と、「新宝島」や「すごく小さな魚が跳ねる音」のようにモチーフに魚が使われている作品というように、共通性が見受けられるのですが、何か意識していることはありますか?子供が好きとか、魚が好きとか。

 

宮崎:作品を作るときに考えていることは、それを見る人に優しい気持ちになってほしい、と思いながら制作しています。子供の頃に着ていたとても小さい服や子猫は、昔、誰しもがあった懐かしさや愛おしさが積もっていると考えています。魚に関しては、サカナクションはもちろん大ファンなのですが、どちらかというと魚よりは水なんだと思います。

 

R:水?

 

宮崎:実は高校時代、元水泳部(マネージャー)なんです。マネージャーなのでプールサイドから水面がキラキラしていて綺麗だなーってずっと眺めていました。笑 多分その経験が作品を作るときに大きく影響しているんだと思います。

 

R:そうすると、、、「アシタへの周波数」のシャツのシワや光沢が水面に見えてきますね。新しい波の波紋と古い波の波紋が重なり合って、複雑な波になってキラキラ反射している。さらに作品に表現されていることと制作の工程も互いに重なり合って、この作品に対する思い入れがまた一段と深くなりました。

 

宮崎:一応、制作の過程や意図はあるのですが、それを当てるのが正解というわけではなく、作品をきっかけにいろんな感じ方や新たな想像の仕方を発見してもらえれば嬉しいです。

 

以上

2019.6.23

IMG_6037.jpg
会場には宮崎さん手作りのピアスも販売しています。1つ1つ名前がついていて素敵!

宮崎みどり

Midori Miyazaki

 

東京都八王子市生まれ

筑波大学大学院人間総合科学研究科博士後期課程芸術専攻 修了

 

2013 第18回日仏現代国際美術選抜展(東京都/大森ベルポートアトリウム)日仏美術選抜賞

2014 宮崎みどり彫刻展 個展(東京都/千住芸術村ギャラリー)

         若手作家のグループ展 EXIST Vol.2 (日本橋/JINENGALLER)

         彫刻7人展(東京都/ギャラリー青羅)

2015 第89回国展(東京都/国立新美術館)国画賞

2016 第90回国展(東京都/国立新美術館)新人賞 準会員推挙

2017 第91回国展(東京都/国立新美術館)準会員F氏 特別賞

         ファインアート・ユニバーシアード U-35展(茨城県/つくば美術館)推薦出品

2018 imagining 横浜美術大学助手展2018(東京都/目黒区美術館区民ギャラリー)

2019 彫刻8人展(東京都/ギャラリー青羅)

bottom of page